自動化、省力化を実現できるFA装置には、位置決め機構(ステージ)が多く使われています。中でもFA装置のひとつである精密加工装置用のステージは高精度化が進んでおり、加工時の位置決め精度や速度安定性が求められます。
例えばレーザー加工装置の場合、穴あけのピッチを1μmの誤差以内で加工していく要求に対しては位置決め精度が重要となります。また、レーザーの照射ムラの低減には、ワークを移動する際の速度変動をより少なくすることでワークへの照射エネルギーを均一に与えることができるため速度変動率の低さが重要な性能となります。
当社ではこのような高度な要求にこたえる位置決め精度、速度安定性能を追求したリニアステージの開発を行っています。
一般的なXYステージは、1軸ステージ2台を直交して積み重ねただけのスタック構造が多く、上軸ベースフレームの支持点が狭いため、テーブルスライド時の荷重位置変化による構造体の変位が大きくなるデメリットがあります。
対して当社XYステージは、同じ1軸ステージを2台積み重ねる構造ではなく、XYの上軸ベースフレーム構造体の支持点位置を最適化することで、テーブルスライド時の荷重位置変化による構造体の変位を低減させています。
高精密加工には、テーブルが移動する際の走りの軌跡の真直度や設置面に対する平行度、テーブル面の角度変化量の指標であるピッチ、ヨーの姿勢精度が重要です。
当社リニアステージは、ステージ構造体の剛性確保、直動軸受の設置位置の最適化、直動軸受の組付け精度向上により、走り精度の向上を実現しています。一例として、テーブル幅220mm、動作ストローク1000mmという長いストロークにおいて真直度2μm以下、姿勢精度ピッチング、ヨーイング5秒以下を実現しています。
温度上昇による熱膨張の変化も、位置精度が変化してしまうため、超精密加工には障害となります。この対策として水冷リニアモータを開発し、リニアステージに採用しています。
ステージ出荷時に位置決め精度をレーザー干渉式距離計で測定し、位置決め精度を補正することで位置決め精度1μm以下を実現しています。また、ステージ設置後の位置決め精度補正にも対応しています。
一例として、速度10mm/s時において、測定サンプリング50Hz時の速度変動率は、コア付きリニアモータ±0.25%に対して、コアレスリニアモータは±0.08%を実現しています。
トルクリップル補正機能、フィードバックフィルタ機能など、制御も自社開発のメリットを活かし、追加機能を容易に組み込み可能です。
当社リニアステージは、ケーブルキャリアの標準設置、出荷時点でのゲインチューニングの実施など、お客様が即時にステージを使用可能な製品となっており、お客様の設計、組み立て工程の大幅な省略が可能となっています。また、豊富な標準ラインアップの他、カスタム対応によるお客様装置にジャストフィットするリニアステージのご提供が可能です。
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